フライングトゥールビヨンの他モデルとの違いは?安い値段のモデル4選も紹介!
腕時計のゼンマイ維持と脱進機に、一定した動きを与える事で精度を維持する機構があり、それをトゥールビヨンと呼びます。トゥールビヨンに視覚的な効果を与えるために考案されたのがフライングトゥールビヨンといいます。ここではフライングトゥールビヨンについて紹介します。
目次
フライングトゥールビヨンとは?他モデルとの違いや安いモデルも紹介
腕時計の機構で偏った重力が時計のゼンマイの駆動に影響する事で精度が落ちないように、重力に応じた動きを脱進機にかけ重力を分散させる機構をトゥールビヨンと呼び、更に発展し視覚的効果も持った機構をフライングトゥールビヨンといいます。
ここではフライングトゥールビヨンについて特徴を見てみます。
フライングトゥールビヨンとは?
通常のトゥールビヨンの仕組みはゼンマイを制御する調速脱進機を常に回し、脱進機の姿勢を変え続け精度を維持する仕組みになっています。
それに対してフライングトゥールビヨンは通常付いている固定のためのブリッジがないものを指します。
トゥールビヨンとは違う機構を持つ
フライングトゥールビヨンは調速脱進機を上下で挟む構造で固定するブリッジという部品が調速脱進機の下しか存在しません。
視覚的に腕時計の構造に魅力を与えるためにブリッジを外し、ケースの中で浮いているかのように見える機構をフライングトゥールビヨンと呼ぶようになりました。
一見、トゥールビヨンと同じに感じますが異なる機構になっています。
アルフレッド・ヘルヴィッヒが発明
通常、脱進機はケージと呼ばれる箱のような部品に収納され、その中で脱進機自体が動き続ける事で時計の精度を保っています。
それを固定するためにブリッジという部品で脱進機を挟んでいるので、外からは脱進機の動きが見えにくいことにグラスヒュッテ時計学校の校長アルフレッド・ヘルヴィッヒが発見し、ブリッジを脱進機の下のみにしたのです。
フライングトゥールビヨンの特徴
脱進機の下のみにブリッジをした事でブリッジに取り付けられたベアリングで脱進機が回転するので、ほとんど摩擦をする事がなくなりました。
これによって脱進機に負担を与えないまま、回転する仕組みがはっきり外から見えるようになり、芸術的な動作で見るものを魅了します。
抑えがなく浮かんでいるようなデザイン
ケージの下のみにブリッジがなったことで、ケージと調速脱進機の動きが直接見えるようになり、まるで宙に浮いているように見えることがフライングトゥールビヨンと呼ばれる由来になりました。
フライングトゥールビヨンを登載した時計は、全ての文字盤からこの美しい機構を覗くことができ、芸術品として時計の動きを楽しむことができます。
1989年以降のトゥールビヨンの派生モデル
今まではトゥールビヨンがほとんどの腕時計に採用されており、フライングトゥールビヨンに関しては当初懐疑的意見が多くあり、実現には遠かったのが現実でした。
しかし1989年に老舗ブランパンが世界で初めて腕時計でフライングトゥールビヨンを発表したことで、部品の動きを見られることがコレクターの間で人気を呼び、トゥールビヨンの派生系として評価されるようになりました。
フライングトゥールビヨンと他モデルの違い
この独創的といえる機構ですが、他モデルとの大きな違いはどういった点にあるのでしょうか。
メカニズムの違いや構造的意図について見てみましょう。
トゥールビヨン機構について
まず最初にトゥルービヨンの構造についてですが、ゼンマイの動力が2番車→3番車→固定された4番車という順番で歯車が繋がり、ガンギ車から動力が伝わりテンプが回るというのが基本的な動きです。
これによって重力分散装置としての役割を果たし、調速脱進機を常に回し姿勢を変え続けるという仕組みになっています。
トゥールビヨンとフライングトゥールビヨンの違い
トゥールビヨンは歯車を固定するための部品が上下から挟んでいる状態になりますが、上から押さえるための部品をブリッジといいます。
フライングトゥールビヨンはブリッジが下にしか存在しない作りになっており、まるで部品が浮いているように見えるので視覚的効果を生むための機構と言えます。
トゥールビヨンのような「カルーセル」とは?
そして一見、トゥールビヨンのように見えるが別物の機構として良く使われているのがカルーセルという機構です。
カルーセルとは回転台といい、その名の通り調速脱進機を台に固定させその土台自体が回転する事で調速脱進機を回します。
トゥールビヨンは調速脱進機が回転するので、その点が大きく異なります。
カルーセルとトゥールビヨンの違い
カルーセルとトゥールビヨンの決定的に異なる点は回すものの違いにあり、そこが一番性能を分けている点にもなります。
トゥールビヨンは調速脱進機を回転させる機構で、カルーセルは調速脱進機を取り付けた台を回転させるということが決定的な違いです。
一般的には カルーセルの方が回転速度が遅いので精度的に劣ると言われています。
フライングトゥールビヨン 安い値段のモデル4選
この技術の高い機能ですが複雑でしかも大変高度な技術を要するものなので、高価なものがほとんどで、値段が安く手の届き易いモデルにはなかなかめぐり合うことができません。
しかし、近年値段が安い手の届きそうなモデルがようやく見られるようになったので、ここではランキングにして4種類の時計を見てみましょう。
タグ・ホイヤー カレラ フライングトゥールビヨン CAR5A8Y.FC6377
フライングトゥールビヨンを手の届く価格にまで押し下げた先駆者がタグホイヤーで、自社製にこだわり徹底したコストダウンに取り組んだ結果、200万円弱の当時驚くべき安い値段で発表されたことでも話題になりました。
文字盤のスケルトンから見えるフライングトゥールビヨンの繊細な動きが思う存分楽しめるモデルです。
価格 | 1,991,000円 |
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ケース素材 | チタン |
ベルト素材 | ラバー(レザー皮ベルト有り) |
ムーブメント | 自社製自動巻きホイヤー02T フライングトゥールビヨン |
重さ | 114g |
CAR5A8Y.FC6377の特徴・機能
- 超軽量フライングトゥールビヨンを搭載
- 軽量で強い素材のチタンをケースに採用
- 新型高性能ムーブメントホイヤー02T
超軽量のフライングトゥールビヨンをダイヤルの6時位置に配した圧巻の傑作モデルがCAR5A8Y.FC6377で、さらに高精度クロノグラフを搭載し、ケース素材には新時代の素材チタンが使われています。
そして自社製高精度ムーブメントホイヤー02Tはフライングトゥールビヨンとクロノグラフを完璧にドライブします。
CAR5A8Y.FC6377の口コミ・評価
フライングトゥールビヨン
評価:時計業界ではずっと高嶺の花だったフライングトゥールビヨンを現実的な価格にまで押し下げたモデルです。経過時間を計測するクロノグラフ機能も搭載しており、機械式時計の持つ面白さを十二分に堪能できるモデルではないでしょうか。
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やはりフライングトゥールビヨンは高嶺の花という印象が強く、それを手が届くところまで押し下げたタグホイヤーの功績は大きいといえるでしょう。
メモリジン フライングトゥールビヨン AT1003SSWHBKR
メモリジンは2011年の創業と歴史は新しい会社ですが、設立当初から自社製ムーブメントと機械式腕時計にこだわり続け、特に自社ムーブメントの開発には高い技術を持っており、実に芸術的なフライングトゥールビヨンを送り出してきました。
広告媒体に頼らない地道な活動で、時計コレクターから高い評価を受け、質の高い腕時計を良心的な値段で提供しています。
価格 | 605,000円 |
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ケース素材 | ステンレススチール |
ベルト素材 | アリゲーター皮ベルト |
ムーブメント | 自社製自動巻きムーブメント フライングトゥールビヨン |
AT1003SSWHBKR の特徴・機能
- 徹底した自社製マニュファクチュールの徹底
- 別時間を表示できるGMT機能
- 芸術的美しさのフライングトゥールビヨン
メモリジンの大きな特徴は徹底した自社製マニュファクチュールを一貫しており、さらに今まで手の届かない高嶺の花だったフライングトゥールビヨンを標準モデルに設定し、良心的な値段で提供している点がポイントです。
さらに別時間を表示できるGMT機能や100万円を切る破格の低価格が評価され、一流のトゥールビヨンを提供するブランドとして一目置かれています。
AT1003SSWHBKR の口コミ・評価
最強の香港ブランド
評価:メモリジンはトゥールビヨン腕時計に身を製造す香港の先鋭ブランドで、東洋と西洋のブレンドが大きなテーマになっています。東洋の彫刻とトップのスイスの時計つくりのスキルを統合し、自社製ムーブメントを採用し、厳密に製造プロセスを管理しています。
https://www.amazon.co.jp/
アジアと西洋の時計つくりの技術の融合は、大きな魅力となって見る者に訴えかけてきます。
メモリジン フライングトゥールビヨン MO1006BKBKBRB
トゥールビヨンを専門に手がける新進気鋭の香港発のブランド、メモリジンは圧倒的な安い値段と高品質なフライングトゥールビヨンで世界から注目の的になっています。
東洋と西洋の融合から生まれるフライングトゥールビヨンと優美な彫刻技術は、他のブランドにはない独特な魅力を持っています。
価格 | 396,000円 |
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ケース素材 | ステンレススチール |
ベルト素材 | アリゲーター皮ベルト |
ムーブメント | 自社製自動巻きムーブメントCal.MO1006 フライングトゥールビヨン |
重さ | 100g |
MO1006BKBKBRBの特徴・機能
- フルスケルトンのブラックケース
- サン&ムーン機能で昼夜をお知らせ
- 約80時間のロングパワーリザーブ
メモリジンナビゲーターシリーズの上位ライン、インペリアルはフルスケルトンのケースをブラックカラーでまとめたフェイスがとても印象的です。
また複雑なフライングトゥールビヨンに加えてサン&ムーン機能で昼と夜を知らせる機能も搭載、さらにパワーリザーブインジケーターも搭載し、約80時間のロングパワーリザーブを実現しています。
MO1006BKBKBRBの口コミ・評価
自社一環生産
評価:トゥールビヨンは基本的な部品の制度に加え、時計師による正確な組み立てと調整により品質が大きく左右させるため、量産化は困難。さらにメモリジンではトゥールビヨンを担当する時計師が約20名在籍しているというのも驚きです。
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驚異的な価格で自社製マニュファクチュールを維持し続けるその姿勢が、高く評価されています。
JohnnyRoger Tourbillon Watch JRRG8007
ここに紹介する中で最も衝撃的な価格でフライングトゥールビヨンを発表しているのが、このJohnnyRoger Tourbillon で、しかも機能も驚きの内容になっています。
ムーブメントは中国のピーコックウォッチ社製を採用しており、最近技術力をグングンと上げてきているトゥールビヨン製作ブランドです。
徹底したコストダウンがこれほど成功している例は非常にまれと言えます。
価格 | 98,000円 |
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ケース素材 | ステンレススチール |
ベルト素材 | レザー皮ベルト |
ムーブメント | 中国製ピーコックウォッチ社製手巻きムーブメント フライングトゥールビヨン |
JRRG8007の特徴・機能
- 中国のピーコックウォッチ社製のムーブメントを採用
- 他を圧倒する低価格
- 作りは甘いが価格優先なら十分あり
ムーブメントを中国のピーコックウォッチ社に依頼する事で大幅なコストダウンに成功し、フライングトゥールビヨンを驚きの低価格で提供する、大注目のブランドが JohnnyRoger Tourbillon です。
ケースの作りこみや装飾などには仕上げの甘いところがありますが、価格重視のユーザーは購入するのも悪くないでしょう。
JRRG8007の口コミ・評価
フライングトゥールビヨンですよ
評価:人生で初めてトゥールビヨンの腕時計を今回試しに購入してみました。今回購入したこのJohnnyRogerというブランドは、おそらく2011年に中国で設立されたトゥールビヨン専門メーカーです。この腕時計にはフライングトゥールビヨンが搭載されています。
https://www.amazon.co.jp/
この驚きの価格とフライングトゥールビヨン搭載であることがきっかけでつい購入という人も多かったです。
フライングトゥールビヨンはルイ・ヴィトンの新作にも採用
フライングトゥールビヨンは近年になってようやく評価されるようになっており、現在では多くのブランドがフライングトゥールビヨンを採用するようになりました。
直近の話題としてはあのルイ・ヴィトンが腕時計コレクションでフライングトゥールビヨン搭載モデルを新作として発表したことで注目を浴びています。
ルイ・ヴィトンの新作 2つの特徴
ルイ・ヴィトンのコレクションの大きな特徴はケース素材にルイ・ヴィトンのためにオーダーされた、ハイテク素材カーボストレイタムを採用し、軽量かつ高い耐久性を持ち合わせています。
ダイヤルの9時位置にスケルトンのフライングトゥールビヨンを配置し、約80時間のパワーリザーブも備えた高度な腕時計になりました。
ルイ・ヴィトンの新作 基本情報
ケース径 | 46mm |
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ケース厚 | 16.75mm |
防水 | 30m防水 |
ムーブメント | 手巻きムーブメントCal.LV108 フライングトゥールビヨン |
参考価格 | 完全受注生産につき非公表 |
ルイ・ヴィトンのウォッチコレクションはケースが大型のものが多く、このモデルも46mmと大きなケース構造になっており、素材はハイテク素材のカーボストレイタムが使用されています。
さらにフライングトゥールビヨン搭載の新ムーブメントCal.LV108を搭載、機械式腕時計として新機軸を打ち出したモデルです。
フライングトゥールビヨンで美しい機械美を堪能しよう
この複雑で高い技術を要するフライングトゥールビヨンですが、近年になってようやく注目を集めるようになり、その魅力に気付き始めた人が増えています。
芸術品といっても良いその部品の動きが類まれな美しさで見る人を魅了します。
是非コレクションに加えてその機能美を楽しみましょう。
この記事のライター
Rich-Watch編集部
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