サイクロイド歯車とは?特徴や搭載されている時計も紹介!
サイクロイド歯車は丸い歯型を持つ歯車です。サイクロイド歯車の加工は難しいため、主に高級時計に使用されています。当記事ではサイクロイド歯車の特徴や搭載されている時計、歴史について記載しています。普段あまり目を向けることのない部品に、興味を持ってみてください。
目次
サイクロイド歯車はどんな設計?特徴や搭載されている時計も紹介
この記事では、高級時計に使われるサイクロイド歯車について説明します。
サイクロイド歯車は見た目の良さに反して加工が難しいという特徴があり、扱いに手をとる歯車です。
サイクロイド歯車とは?
サイクロイドは円が規則によって回転する際に、回転する円の定点が作り出す平面曲線のことを言います。
歯車の先端が円くなっている
歯車の形は、やや三角状になっているインボリュート歯車がイメージとして強い場合が多いでしょう。
サイクロイド歯車はこのインボリュート歯車の形に反して、先端が丸いという特徴があります。
なお一般的な時計の歯車は、サイクロイド型とインボリュート型の折衷型が多いです。
この折衷型の歯車はコストが低く抑えられ、伝達効率の良さがあるというメリットがあります。
電動効率が高いが加工が難しい
サイクロイド歯車には、トルクの電動効率が高くて見た目が良いというメリットがあります。
トルクは機械の回転力や駆動力のことを言います。
しかしメリットに関わらず、サイクロイド歯車は加工が難しいというデメリットがあるので量産が難しい歯車です。
そのため自然とコストが高くなるせいか、サイクロイド歯車が使用される時計は高級時計に限られています。
標準的なサイクロイド歯車は1961年に制定されたNIHS歯形と呼ばれるものですが、「パテック・フィリップ」や「ジャガー・ルクルト」の高級時計メーカーはNIHS歯形に改良を加えてSPYR歯車を開発しています。
なお、この新たに開発されたSPYR歯車の伝達効率は95%以上です。
サイクロイド歯車搭載のパテック・フィリップ懐中時計をレビュー
サイクロイド歯車が実際に使われているパテック・フィリップの懐中時計について、以下に説明します。
以前は手作業で仕上げられていた歯車
歯車は噛み合わせが大切です。
狂いを生じさせないために精密な整形が必要な作業を、歯車生成が可能な機械が登場するまでは全て手作業で行われていました。
その時に機会の代わりに使われていた道具は金鋸とやすりです。
19世紀の中盤になると、歯車を量産するために機械が発明されました。
これは「歯車切り機械」という名前で呼ばれ、歯車に歯をつける役割を担っていました。
現在は歯車研磨機でサイクロイド曲線を仕上げ
19世紀中盤で開発された「歯車切り機械」の後に、「歯車研磨機」と呼ばれる機械が発明されます。
「歯車研磨機」は「歯車切り機械」で生成された四角型の歯を、完全なサイクロイド型に仕上げる機能を持っていました。
この「歯車研磨機」より人の手を煩わせることなく、サイクロイド歯車が作成できるようになったのです。
時が流れて現代では「歯車切り機械」の性能が上がったおかげで、1度の作業で精密なサイクロイド歯車が生成可能となっています。
結果として「歯車研磨機」の存在は不要となりましたが、パテック・フィリップは「歯車研磨機」を使用してサイクロイド歯車を作成しています。
そのためパテック・フィリップのサイクロイド歯車が使われている懐中時計は、歴史的な技術によって作られている重みのある時計なのです。
サイクロイド歯車は高度な加工技術を要する歯車の形
サイクロイド歯車は、高度な技術によって生成された価値ある歯車です。
サイクロイド歯車を搭載した時計を持っているのであれば、その価値を感じながら大切に使っていきましょう。
この記事のライター
Rich-Watch編集部
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