キングセイコーの4つの魅力やグランドセイコーとの違いを紹介!
世界中で信頼されている日本の腕時計ブランド「セイコー」が、1961年~75年にかけて販売していた「キングセイコー」の魅力を解説します。セイコーは現在高級腕時計の「グランドセイコー」を販売していますが、グランドセイコーとキングセイコーの違いも参考にして下さい。
目次
キングセイコーの魅力とは?グランドセイコーとの違いも紹介
多くの時計愛好家の方から今なお愛されている「キングセイコー」は、グランドセイコーとともににセイコーが販売していた高級腕時計です。
ムーブメントで「44系」「56系」とモデル分けされていてそれぞれに特徴があります。
キングセイコーの魅力と代表的なモデルをご紹介します。
キングセイコーの4つの魅力
2000年には限定2000個で復刻販売されて多くのキングセイコーファンを喜ばせたキングセイコーは、高精度で耐久性の高い腕時計です。
発売当時も人気の高かった腕時計ですが、アンティークとしても今なお支持されているキングセイコーの魅力を解説しますので参考にして下さい。
①製造工場や年代によりモデル毎に個性の違いあり
セイコーは諏訪工舎と第二精工舎(亀戸)で製造されていましたが、「セイコー」という名は同じでも別会社なので、諏訪ではキングセイコー、第二精工舎ではキングセイコーを開発、製造していました。
キングセイコーは1961年より販売していますが、年代によりそれぞれデザインやキャリバーが変わり、個性豊かな「名機」と呼ばれる腕時計を開発・販売しました。
それぞれの個性の違いがキングセイコーファンの方を魅了しています。
②60~70年代日本の機械式時計技術の結晶
グランドセイコーは諏訪精工舎、キングセイコーは第二精工舎(亀戸)で製造されていましたので、それぞれが切磋琢磨し技術を磨いていました。
60~70年代にかけてスイスの高級腕時計に負けないような美しいキャリバーを開発し搭載したモデルは、日本の機械式腕時計の技術の結晶と言えるでしょう。
③アンティークでも比較的低価格で手に入れやすい
キングセイコーは当時15,000円で販売されました。
当時の国家公務員の方の初任給は12,000円と言われていますので、高級腕時計の部類になるでしょう。
ただ、グランドセイコーが当時25,000円で販売されていましたので、グランドセイコーよりはリーズナブルなキングセイコーのほうが人気を博す結果となりました。
当時に手に入れた方が多いため、良品のモデルが現在でも多く、アンティークですが比較的手に入れやすい価格で販売されています。
④高価格帯のグランドセイコーと性能がほぼ同じ
グランドセイコーとキングセイコーはほぼ同性能の腕時計です。
価格はキングセイコーの方が廉価ですが、それは精度の調整といった製造過程を少し簡略化したためになります。
ムーブメントは同じですが、出荷する前の精度調整がグランドセイコーの方が念入りに行っていたということです。
精度の微調整を簡略化したとはいえ、クロノメーターの優秀さやセイコーブランドとしての精巧な作りなどに違いはありません。
キングセイコーの精度の高さは、発売されている現在の腕時計にも匹敵しています。
キングセイコー グランドセイコーとの違いは?
スイスの高級腕時計にも負けない日本の技術の粋を集めたキングセイコーですが、キングセイコーとグランドセイコーはどう違うのかをもう少し詳しく解説します。
①製造工場の違い
グランドセイコーとキングセイコーには製造していた工場の違いがあります。
グランドセイコーは諏訪精工舎で製造し1960年に発売され、その翌年、第二精工舎(亀戸)で製造したキングセイコーが発売されました。
同じ「セイコー」の名がついていますが、両舎は別会社でした。
1966年以降キングセイコーのクロノメーターが生産中止となったため、グランドセイコーをより高精度で高級な腕時計として差別化したため、両精工舎が製造を始めました。
ただ諏訪精工舎はキングセイコーに、第二精工舎はキングセイコーに思い入れがあったようです。
②価格設定の違い
グランドセイコーとキングセイコーは価格も違います。
グランドセイコーは当時25,000円で発売されましたが、キングセイコーは当時15,000円での発売でした。
いずれも当時としては高級腕時計の部類になります。
価格に違いはありますが、決してキングセイコーがグランドセイコーの「廉価版」というわけではありません。
グランドセイコーがクロノメーターの規格よりも厳密なGS規格で高精度、高級になる以前は、キングセイコーもグランドセイコーもほぼ同じ高性能なモデルです。
③歩度証明書と秒針規制の有無
グランドセイコーとキングセイコーの違いに「歩度証明書」「秒針規制」の有無があります。
「世界に通用する高級腕時計」を目指していたグランドセイコーには、クロノメータが認定したムーブメントを搭載している腕時計に発行される「歩度証明書」がついていました。
ただキングセイコーにも「歩度証明書」が発行されているモデルもあります。
「秒針規制」は竜頭(リューズ)を引き秒針を止めて時刻を合わせる機能ですが、グランドセイコーには搭載されていましたが、キングセイコーにはついていませんでした。
キングセイコーの代表的なモデルを調査
アンティークですが現代の腕時計に引けを取らない高精度なキングセイコーの魅力や、グランドセイコーとの違いをご紹介しました。
ここからは、キングセイコーの代表的なモデルをご紹介しますので、参考にして下さい。
1.ファースト: Cal.54A
キングセイコーの最初のモデルはファーストと言われるCal.54Aです。
第二精工舎(亀戸)で製造されていたモデルですが、「歩度証明書」と「秒針規制」はなかったので、グランドセイコーよりも低い価格で発売されました。
金箔を採用したモデルが多いのですが、中にはステンレスケースのモデルもあります。
こちらのモデルはケースサイズ43×36mmで厚さは8.3mmと薄いのですが、立体感のあるデザインが美しい腕時計です。
大きめの文字盤に多角にカットされた針、細めのインデックスと金メッキのケースに黒の革ベルトが採用されていました。
2.44系: Cal.44
「第二世代」と言われるキングセイコーのCal44は、曲線の組み合わせが端正な腕時計は、現在の腕時計と比べても遜色ないでしょう。
毎時18,000振動のロービードで高精度な腕時計です。
ファーストには搭載されていなかった「秒針規制」を搭載した手巻き時計、防水ケースに入っていました。
キングセイコーのセカンドモデルは、比較的流通量が多いので良品が手に入る可能性も高いでしょう。
3.4420KS: Cal.4420A
1964年~66年に発売されたモデルは「4420KS」でムーブメントは「Cal.4420A 」が搭載されていました。
第二世代の44KSをクロノメーター(非公認)にするために、石を2つ増やした27石の専用ムーブメントになります。
こちらのモデルはケース径36mm、ステンレスのケースに黒の革ベルト、とてもシンプルで気品のある腕時計です。
4420KS(Cal.4420A)は、他にもベルトが茶系の革を採用したモデルも販売されていましたが、いずれも数が少なく現在では100,000円前後と少し高価で取引されています。
4.45系/45クロノメーター
45系/45クロノメーターは「日本クロノメーター検定協会」の検定を初めて合格したムーブメントです。
また「日本クロノメーター検定協会」よりも規格が厳密なセイコーの「GS規格」も合格し、グランドセイコーにも搭載され、さらに「天文台クロノメーター」にも採用されました。
ステンレスケースの形状が独特で、ベルトは革のモデルとステンレスモデルがあります。
第二精工舎が技術の粋を集めた腕時計は、毎時28,000振動以上のハイビートのムーブメントで精度は高いのですが、少しゼンマイが切れやすいと言われています。
5.56系/56クロノメーター
56クロノメーター(cal5625/5626)は、キングセイコーですが諏訪精工舎で製造されました。
また、キングセイコーでは初めての自動巻き(手巻き可)の、ハイビートムーブメントになります。
ムーブメントが少し小型なため、文字盤やケースデザインが豊富なのも特徴でしょう。
「スクリューバック」「スクエア」「ワンピース」と様々なモデルが発売され、それぞれ流通量も多かったため、現在でも手に入れやすいキングセイコーです。
6.52スペシャル/同クロノメーター
1971年~74年に製造された52スペシャルクロノメーター(cal5256/5254/5246)は、第二精工舎(亀戸)で製造されたキングセイコー最後のモデルになります。
製造中止になりましたが、外装等をそのまま引き継いで販売されたモデルもあるので注意して下さい。
ハイビートで自動巻き(手巻き可)、キングセイコーでは唯一文字盤に「スペシャル」の文字が入っています。
外装をそのまま受け継いだモデルは流通量も多く比較的低価格(30,000円~50,000円程度)で手に入れることができるでしょう。
キングセイコーのメダリオンとは?
1960年代に発売された高級腕時計には「メダリオン」が装着されていました。
メダリオンは裏蓋についているため腕時計を着用すると見えない部分ですが、個性的なのでメダリオンのファンの方も多いでしょう。
前期モデルにはメダリオンあり
キングセイコーのファーストのメダリオンは「盾」で、盾が金の物と銀の物があります。
また、セカンドモデルの44KSには、盾メダリオンのモデルと「SEIKO」の文字が入っているメダリオンのモデルも販売されていました。
44系や4420の裏蓋には、獅子デザインのメダリオンが装着されていました。
「獅子の紋章」はグランドセイコーのシンボルとなっていて、グランドセイコーにも初代から裏蓋には獅子メダリオンが装着されています。
キングセイコーの手巻きモデル45KSや自動巻きモデルの56KSの初期型の裏蓋には「KS」と「SEIKO」「稲妻マーク」が入ったメダリオンが装着されていましたが、後期型にはついていないので注意して下さい。
後期モデルのメダリオンは簡略化
自動巻きモデルの52KSのキングセイコースペシャルは1975年の4月~12月の短い期間に販売された腕時計で、最後の「キングセイコー」ですが、裏蓋にメダリオンは装着されておらず「KS」や「SEIKO」の刻印になっています。
自動巻きモデルの56KSの後期型では「SEIKO」「KS」の刻印が入っていましたが、最終のモデルになると「KS」の刻印もなくより簡略化されています。
また、グランドセイコーのメダリオンですが、こちらは価格も高価なので最後までメダリオンが装着されています。
キングセイコーは初期モデル44系と56系クロノメーターが人気あり
キングセイコーの魅力やグランドセイコーとの違いを紹介しました。
高精度で細部まで丁寧に製造されているキングセイコーは、現代でも通用する腕時計です。
中でも44系とハイビートの56クロノメーターが人気が高いので探してみるのもいかがでしょう。
この記事のライター
Rich-Watch編集部
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