マリーアントワネットが愛したブレゲの時計とは?価格や機能も調査!【2024年最新】
時計の歴史を200年早めたとも言われるブレゲ。マリーアントワネットと同時代を生きた天才時計師は、「No.160」の型番がつけられた彼女からの依頼品を残しています。マリーアントワネットが依頼した最高峰の時計とはどんな時計なのか、その詳細をまとめました。
目次
マリーアントワネットが愛した時計の魅力に迫る
数ある高級時計ブランドの中でも、歴史の長さや時計技術の高さで多くの時計愛好家から愛されているブレゲ。
天才時計師ブレゲが創設したブランドで、現代の時計にも搭載されている数々の機能を発明したことでも有名です。
腕時計内部の機械についての発明はもちろん、ブレゲ針やギョーシェ彫りなど見た目の美しさにも定評があります。
マリーアントワネットはブレゲと同時代を生きたうえ、ブレゲにとって重要な顧客のひとりでもありました。
そしてマリーアントワネットはブレゲの作る時計の精密さや美しさに魅了され、ある時計の製作を提案します。
今回はそのマリーアントワネットがブレゲに依頼した時計について徹底調査。
価格や機能、展示や動画についての詳細もまとめています。
マリーアントワネットが愛したブレゲの時計とは?
高級時計ブランドの中でも名門中の名門ブレゲには、通称マリーアントワネットと呼ばれる伝説の時計があります。
まずはこの時計がどういった経緯で生まれたのか、その過程をご紹介します。
当時の時計技術の最高傑作"ブレゲNo.160"
フランス国王ルイ16世の王妃であるマリーアントワネットは、天才時計技師ブレゲと同じ時代を生きた人物です。
身につけるものから食事、生活面に至るすべてで最高のものを求めた彼女は、ブレゲの作る時計に魅了。
1783年に「時間も費用も無制限で最高峰の時計を作って欲しい」と依頼します。
依頼に至るまでの過程は謎が多く残っていますが、彼女の使用人や彼女に恋した宮廷人が依頼したとの逸話が残っています。
完成までに40年以上の月日を費やす
こうしてマリーアントワネットから依頼されたと言われる時計を作り始めたものの、複雑機構のすべてを詰め込んだ時計が簡単にできあがるわけがありません。
時計師として王妃のために最高峰の時計を届ける使命を受けたブレゲですが、完成前に亡くなってしまいます。
さらに製作途中でフランス革命が起こり、マリーアントワネットも処刑されました。
残されたブレゲの弟子たちが製作を引き継ぎ、完成したのは依頼を受けてからなんと44年の月日が経ったあとです。
完成品は引き取り手なく行方不明に
ブレゲNo.160は完成しましたが、依頼主のマリーアントワネットはすでに処刑されていたうえ引き取り手が現れることはありませんでした。
完成後はブレゲ家にて私財として保管され、時計愛好家のデヴィッド・ライオネル・サロモンズ氏の手に渡ります。
サロモンズ氏は1925年に亡くなり、遺族がL.A.メイヤー記念イスラム美術館へ寄贈。
しかし1983年に何者かに盗まれる事件が起き、行方不明となりました。
マリーアントワネットのブレゲ時計のスペックについて
ここではマリーアントワネットNo.160の機能性や価格について解説します。
見た目の美しさはもちろん、当時の複雑機構をすべて詰め込んだNo.160は機能性にも優れています。
ブレゲ時計の価格(価値)
ブレゲのマリーアントワネットNo.160の価格は実際のところ不明です。
しかし当時の技術や費用、時間を際限なく詰め込んだこの傑作は推定数百億円以上とも言われています。
ペルペチュアルと呼ばれる自動巻き機構が搭載されており、その機構だけで部品の数はなんと823個。
パーツやケースに至るまで使えるところはすべてゴールドを使い、美しさも時計の複雑さも最高峰なものに仕上げています。
ブレゲ時計の機能
- パーペチュアルカレンダー
- ミニッツリピーター
- スプリットセコンドクロノグラフ
- パワーリザーブ表示
- 均時差表示
- 自動巻き
- サファイアの軸受け
ブレゲのマリーアントワネットNo.160に搭載されている機能は上記のようにいくつかあります。
ブレゲが開発した自動巻き機構ペルペチュアルや音で時を知らせるミニッツリピーター、月日と曜日を表示するパーペチュアルカレンダーがメインの機能です。
またクロノグラフの原型とも言われている、分針とは別に作動するセンター針も搭載。
現代の腕時計の複雑機構につながる機能が、約200年前の時代にほとんど開発済みであったことがわかります。
ブレゲ時計の外観
マリーアントワネットNo.160は、上記の画像の通り懐中時計型のフルスケルトンタイプ。
透明なクリスタル風防と文字盤を使用しているので、時計内部の隅々まで目で見ることができます。
そして針やネジには焼きを行い、美しい濃く深いブルーの発色を引き出しています。
またケースは純ゴールド、ミニッツリピーターやパーペチュアルカレンダーの一部部品にはローズゴールドと細部まで抜かりなく高級素材が使われています。
これらの内部パーツはローズゴールドを木材で磨いており、これらの工程はすべて手作業です。
マリーアントワネットのブレゲ時計にはレプリカがある?
マリーアントワネットNo.160には、ブレゲが当時の資料を参考に精巧に作り上げたレプリカがあります。
ここではそのレプリカの詳細について解説します。
レプリカとはいえ当時の手作業での製作や使われた素材まで忠実に再現されており、現代の時計製造技術をもってしても数年かかったのが頷けます。
4年をかけて製作された名機"ブレゲNo.1160"
2004年にスウォッチグループ会長のニコラス G. ハイエック氏がレプリカの作成をブレゲに命じます。
レプリカのマリーアントワネットNo.160はNo.1160の型番が与えられ、当時のスケッチや資料をかき集めて製造開始しました。
2004年当時の時計技術を持ってしても古い資料のみの復元は非常に難しく、パリ国立工芸学院ミュージアムとの共同研究を経て完成。
完成したのは2008年で、完成までに4年もの歳月を経ています。
化粧箱はヴェルサイユ宮殿の木材を採用
No.1160が納められている箱は、マリーアントワネットとルイ16世が結婚式を行い、フランス革命以前に憩っていたヴェルサイユ宮殿プチ・トリアノン宮の木材が使われています。
ヴェルサイユ宮殿に生えていたオークの木は長年の日照りや雨などによって腐食が進んでおり、建て替え時に切り倒す他ないほどでした。
その切り取ったオークの腐食部分をカットし、成形したのがこの化粧箱です。
なお側面に彫られた模様は、マリーアントワネットが使っていた部屋の床の模様を模しています。
元々このオークの木材は切り取られたときにブレゲ側が買い取る予定でした。
しかしフランス政府が無償でブレゲへ提供したため、そのお返しにヴェルサイユ宮殿の修復費用5000万ユーロ(約75億円)を贈呈しています。
レプリカ完成間近に本物が見つかる
1983年にイスラエル・エルサレムの美術館から盗まれたNo.160は、2007年に奇跡的に見つかります。
実はこの奇跡的な発見が起こる3年前の2004年にレプリカが製作開始したのです。
復刻版のNo.1160の完成とほぼ同時に発見されたマリーアントワネットNo.160は、イスラエルにて発見されたようです。
25年ぶりに発見されたとはいえゴールドのケースのきらびやかさが残っており、良い状態で発見されています。
マリーアントワネットのブレゲ時計が見られる場所は?
マリーアントワネットNo.160やレプリカのNo.1160の現物が展示されている場所や予定はあるのでしょうか。
ここでは過去の展示やメディア露出、今後の動向について解説します。
2016年には森タワーでレプリカを展示
マリーアントワネットの時計は、2016年に東京六本木の森タワー開催のマリー・アントワネット展で展示が行われました。
開催時期は2016年10月25日〜2017年2月26日ですが、レプリカのNo.1160が展示されたのは11月2日と11月3日の2日間のみ。
この時計とともにブレゲの限定ウォッチも展示されており、大きな話題となりました。
2017年には本物をテレビ番組で放映
日本での展示はレプリカのみかつたった2日間という短さでしたが、NHK「発掘!お宝ガレリア」にてテレビでもNo.160が放映されました。
放送時間は2017年8月17日の22:00~22:50。
50分の番組ですが、モナコ王妃グレース・ケリーや迎賓館と合わせての特集でした。
マリーアントワネットNo.160は日本のテレビで放映されたこと自体が非常に珍しく、再放送がない限りは現在視聴することができません。
本物もレプリカもブレゲ社に厳重に保管
現在、マリーアントワネットNo.160は元々保有していたイスラエルの美術館が保管しています。
今後このNo.160を展示しないことが決定されたため、一般の人の目に触れることはありません。
なおレプリカのNo.1160もブレゲ本社が保有しています。
このNo.1160も今後展示する予定は2021年現在ありません。
またNo.1160を販売する予定や、別途レプリカを作成する予定もありません。
マリーアントワネットのブレゲ時計が見れる貴重な動画2選
マリーアントワネットNo.160の現物を見ることは不可能ですが、Youtubeにてレプリカを実際に製作する風景や動いている様子を見ることができます。
最後にNo.1160が見られる動画を紹介します。
動画①バーゼルワールドでの発表
こちらの動画は、2008年の時計見本市バーゼルワールド内でニコラス G. ハイエック氏がレプリカ完成の記者会見を行った映像からスタートします。
なおNo.1160の詳細は3:21から見られます。
4:20からはブレゲ社内でのNo.1160の製作風景を収録。
8:28からは化粧箱を作るためにヴェルサイユ宮殿のオークの木材を切り出しているところまで見られます。
動画②レプリカ完成までの過程
こちらの動画は上記の「Marie-Antoinette watch」の4:20から8:28付近を切り取った動画です。
製作風景のみを見たい人はこちらの動画をおすすめします。
この動画ではブレゲの時計技師達が当時の資料や設計図を元にミーティングする様子や3Dモデリングをする様子を収録。
パーツの磨きや組み立てもすべて手作業で行われ、本物に限りなく近い時計を再現できるよう作られているのがわかります。
マリーアントワネットの時計はブレゲの伝統技術の集大成
現代の高級腕時計にも使われている技術が多数搭載されているマリーアントワネットのNo.160。
逸話がいくつかあるものの依頼主は不明、完成前に王妃とブレゲ両名とも亡くなる、レプリカ完成間近で本物が発見されるなど数奇な運命を辿ってきました。
こうした背景も含めて多くの人を魅了するこの時計は、時計の歴史を語る上でも重要な存在です。
なおブレゲ開発の複雑機構といえばトゥールビヨンが有名ですが、特許取得はマリーアントワネットが亡くなった8年後の1801年です。
時計の歴史を200年早めたと言われているブレゲですが、もしも20年早くトゥールビヨンがこの世に生まれていたらこの時計にも搭載されていたかもしれません。
現在はその姿を見る機会がありませんが、ぜひ動画や画像で現代に受け継がれている最高の時計の技術に触れてみましょう。
2021年9月19日調査
この記事のライター
Rich-Watch編集部
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