トリチウム時計は果たして危険？人気を集める時計10選や規制などを徹底解説！

トリチウムは危険とみなされる物質ですが、時計の蛍光塗料として長年利用されてきました。

なぜトリチウムが危険物質とされるのか、そして本当に人体に悪影響を与えるのかについて解説していきます。

トリチウムは水素の仲間で、微量ながら自然界に存在している物質です。

形態としては酸素と結合したトリチウム水となっており、海や川だけでなく雨水や水道水に駐在しています。

普段吸っている空気中の水蒸気の中にも、トリチウムは混在しています。

トリチウムは原子の分類においては三重水素で、時計の夜光塗料に使われることが多い毒性の低い物質です。

三重水素は自然界の異端児のような存在といえます。

物質は全て原子の集合体から構成されていますが、原子自体は「原子核」と「電子」の構成体です。

トリチウムは水素原子の仲間で、水素原子は本来1個の「陽子」と呼ばれる物質からできた原子核と1個の電子から構成されています。

しかし稀に陽子1個に中性子が加わった原子核の水素原子や、陽子1個に2個の中性子が加わった水素原子が現れることがあります。

これは水素原子の同位体と呼ばれ、陽子1個に中性子2個の原子核が三重水素と呼ばれています。

時計に利用されているトリチウムの量程度では、人体に害を及ぼすほどの影響力はありません。

トリチウムが分類される三重水素は、原子核が不安定な状態にあるため別の原子核への変化を行おうとします。

その際、三重水素は放射線を発します。

放射線には「アルファ線」「ベータ線」「ガンマ線」「中性子線」の4つの種類がありますが、トリチウムはベータ線のみを発しています。

しかしベータ線はエネルギーが弱いという特徴があるため、空気中でも5mm程度の距離しか進むことができません。

紙1枚で遮れる程度のエネルギーなので、使われている時計のケースを通り抜けて人体に悪影響を及ぼすことは困難です。

危険性が低いとは言え放射線を発する物質のため、日本では厳しい規制がかけられています。

規制によって時計の夜光塗料に使われる量も制限されているので、規制されている放射線物質だからと過剰にトリチウムに対して不安を持つ必要はありません。

トリチウムの先駆けでもあるルミノックス社製で、人気がある腕時計を10種類紹介します。

現在時計の蛍光塗料は、安全性の高いルミノバへと変わっています。

ルミノバとはどのような物質であるかを以下に紹介します。

ルミノバは、根本特殊化学株式会社が開発した放射性物質を含まない蓄光性夜光顔料です。

トリチウムと違って放射性物質が含まれていないため安全に時計に使用でき、法律の規制に引っ掛かることがありません。

トリチウムは光度の低下が起きないと言われていますが、暗闇の中での光り方自体は弱いという面があります。

対してルミノバはトリチウムより明るく、10倍ほどの明るさです。

またルミノバは初期の段階では緑色の光のみでしたが、研究が進んだ結果白、赤、黒といった異なる光の種類もあります。

ルミノバは太陽の光だけでなく電灯の光を吸収して短時間で蓄え、3時間から5時間ほどの間効果を発揮します。

トリチウムは24時間持続して発光していますが、自然素材のため寿命があり、発光時間は10年ほどです。

対してルミノバは自然素材でなく人工的に作られた夜光塗料のため、発光時間はトリチウムよりも遥かに長いです。

ルミノバはセラミックスが主原料として使われているので、大きな劣化は起きにくく、定期的な塗り直しや時計の文字盤の交換は不要です。

劣化が起きにくいため、半永久的に使える夜光塗料でもあります。

セラミックスは基本的に耐熱性が高いため、ルミノバは熱による劣化が起きにくい夜光塗料です。

また耐久性にも優れているので、安心安全に使用できます。

トリチウムが夜光塗料として使われる以前は、トリチウムよりも危険性の高いラジウムが使われていました。

当時は危険性の認識が低く、規制がかかっていませんでした。

ラジウムは放射性元素の代表的な物質で、アルカリ土類金属に分類されます。

キュリー夫妻が発見したことで有名な物質ですが、危険性がまだ分かっていなかったためか、キュリー夫人は素手でラジウムを直接触っていました。

キュリー夫人は最終的にラジウムの放射線により被爆して亡くなります。

ラジウムによる放射線は蛍光物質に反応することで発光することが分かり、時計の蛍光塗料として使われます。

しかし放射線は一定量以上を浴びた場合、火傷を起こしたり体内の細胞を破壊したりする危険性が認識されるようになったため、すぐにラジウムを使った夜光塗料は作られなくなりました。

ラジウムは若い女性達の命や健康を害しました。

規制されていなかったラジウムが蛍光塗料として使われていた時、時計にその蛍光塗料を塗るのは若い女工さんたちでした。

実は当時既にラジウムの危険性は分かっていたのですが、時計に塗る程度の量では人体に影響はない、むしろ良いと言われていたそうです。

しかしラジウムの影響により1人の女工さんの歯が痛むようになり、次第に痛みは四肢へと広がり、最終的には顎の骨が崩れてしまいます。

彼女の症状が悪化するに連れて、他の女工さんたちも顎の違和感や足の痛みを訴えるようになります。

顎の骨だけでなく背骨が崩れた女性もおり、何人もの女性が亡くなりました。

トリチウムは危険性の低い蛍光塗料で、使われている時計は使用者に害を及ぼしません。

ただ周りが危険と言うからという理由だけでトリチウムを避けることはせず、自分で調べて正しい知識を保有し、トリチウム時計を愛用していきましょう。

2020年11月27日調査