フィリップ・デュフォー(独立時計師)について解説!作品時計も紹介!
時計師と呼ばれる時計作り専門の職人の中でも、フィリップ・デュフォーはとりわけ有名な存在といえます。ドイツやイギリスで経験を積んだ後、ついに自らの名を冠したブランドを設立しました。フィリップ・デュフォーの作品の特徴や職人としての気質を紹介します。
目次
フィリップ・デュフォー(独立時計師)とは?作品時計も紹介!
「グラン・プチ・ソネリ」をはじめとした革新的な腕時計を筆頭に、時計業界に輝かしい実績を残してきた時計師といえばフィリップ・デュフォーです。
時計が大量生産されるようになる以前の技術を受け継ぎ、現代に通じるレベルにまで成長させてきた時計師のなかでも、フィリップ・デュフォーは特別な存在といえます。
フィリップ・デュフォー(独立時計師)はどんな人?
一流の時計師であるだけでなく、ブランドまで設立したフィリップ・デュフォーは、世界的時計メーカーをいくつも抱えるスイス出身の人です。
スイスから欧州各国を巡って修行した彼の気質や沿革を解説します。
フィリップ・デュフォーの経歴
世界的に有名な時計師であるフィリップ・デュフォーですが、彼が成功するに至った道筋を振り返ると、時計に対する並々ならぬ情熱を感じ取れます。
時計製造技術の向上に寄与した彼の経歴を簡単に見ていきましょう。
1948年:スイス ジュウ渓谷のル・サンティエで生誕
現在では「時計の帝王」として知られるフィリップ・デュフォーは、スイスのジュウ渓谷にあるル・サンティエで産声を上げました。
ロレックスやオメガといった国内でも有名な時計ブランドがいくつもあるスイスでの生誕が、フィリップ・デュフォーの時計職人としての下地を作るのに最適な環境だったといえます。
1967年:高校卒業後、時計製造に専念
フィリップ・デュフォーが時計職人を志し、修行に専念するのは高校を卒業した19歳のときです。
自社生産を貫くスタイルで有名なジャガー・ルクルトというスイスの時計会社に入社したフィリップ・デュフォーはその後、イギリスやドイツに渡り、時計製作の技術を磨くことになります。
1978年:工房の立ち上げ
各国を巡ったフィリップ・デュフォーはスイスに戻り、1978年に工房を設立します。
そこで取り組んだアンティーク時計の修復は、彼の時計師としての技術をさらに向上させました。
「グラン・ソネリ」の開発
フィリップ・デュフォーの名を世界的に有名にした一員として挙げられるのが「グラン・ソヌリ」です。
懐中時計のムーブメントとして製作されたこの機構は、時計師として独立したばかりのフィリップ・デュフォーを後押しすることになります。
フィリップ・デュフォー(独立時計師)の始まり
フィリップ・デュフォーは一介の時計師としてだけでなく、現代ではブランドとしても定着しています。
成功のきっかけとなったは、「グラン・ソネリ」を改良して腕時計のムーブメントに用いた「グラン・プチ・ソネリ」です。
1992年:「グラン・プチ・ソネリ」を発表
時計師として知名度を高めていたフィリップ・デュフォーが1992年、満を持して自らの名のブランドを展開する際に発表したのが「グラン・プチ・ソネリ」です。
完璧さを追求するフィリップ・デュフォーのこだわりが詰まった時計といえます。
精巧なムーブメントと完璧な技術で人気に
「グラン・プチ・ソネリ」が評価されているのは搭載されたムーブメントの質の高さが理由です。
確かな技術に裏打ちされた精巧なムーブメントは、フィリップ・デュフォーの完璧さへのこだわりの表れといえます。
フィリップ・デュフォー(独立時計師)の時計作品
機械によって大量生産される時計とは異なり、時計師が作り上げる時計は手作業による個性が生まれます。
「グラン・ソネリ」をはじめとしたフィリップ・デュフォーの作品は、製造に10カ月近くかかることもあるほど複雑な技巧を用いている点が特徴です。
フィリップ・デュフォーのこだわりが詰まった作品が持つ個性や、具体的なモデルに見られる特色を紹介します。
フィリップ・デュフォーが作り上げる時計作品とは?
時計とは時を刻むための機械であり、現代は数百円程度でその機能を果たす時計を購入することができます。
しかし、そんな時代であってもフィリップ・デュフォーの作品を求める人が後を絶ちません。
フィリップ・デュフォーは時代の枠を超えて継承された技術と、最新のテクノロジーを組み合わせることによって、大量生産の時計とは一味違った魅力を時計に与えています。
伝統と先端技術を駆使し丁寧に作られる時計作品
日々進化する技術の潮流に乗り遅れることなく、フィリップ・デュフォーはコンピューターを用いて内部機構を設計するといった挑戦を行っています。
より質の高い時計を作るために必要な技術を納得するまで追究する姿勢が、フィリップ・デュフォーの代表作である「グラン・プチ・ソネリ」や「シンプリシティ」を生み出した源泉です。
フィリップ・デュフォーの代表的な時計作品
フィリップデュフォーはムーブメントを自ら手作りした作品を世に送り出しているため、作品数は比較的少ないのが現状です。
どのモデルに対してもこだわりを持っており、個性が光る作品がいくつも見受けられます。
その中でもとりわけ有名なのが「グラン・プチ・ソネリ」「デュアリティ」「シンプリシティ」の3点です。
「グラン・プチ・ソネリ」
フィリップ・デュフォーの技術力の高さを象徴した作品として紹介せずにはいられないのが「グラン・プチ・ソネリ」です。
もともとは懐中時計のムーブメントとして採用された内部機構を腕時計のサイズにまで縮小したことが最大の功績とされています。
「デュアリティ」
懐中時計に運用されていた技術を腕時計に持ち込んだ作品としては「デュアリティ」にも注目です。
「デュアリティ」にはマルチエスケープメントと呼ばれる技術が採用されています。
これはムーブメントが外圧を受けたときに生じる誤差を抑制するために、バランスホイールと呼ばれる部品を複数活用する技術です。
「シンプリシティ」
2000年に発表された「シンプリシティ」は、その名の通り過剰な装飾を配したデザインが特徴の腕時計です。
「シンプリシティ」は整備の容易さをテーマに掲げており、世代を超えて使用されることを前提とした設計になっています。
しかしシンプルとはいってもムーブメントについてはフィリップ・デュフォーが自らの手で作り上げているため、品質については折り紙付きです。
フィリップ・デュフォーの製作本数は年間15本程度
手作業による時計製作は集中力と繊細な技術を必要とするため、時計師の手による時計の販売台数は大量生産されるモデルに比べると格段に少ないのが実際のところです。
フィリップ・デュフォーについても同様で、2000年から2014年までは1年に約15本のペースで作品を生み出しています。
絶対数の少なさはフィリップ・デュフォー作品の希少性や価値を高める要因のひとつです。
フィリップ・デュフォーのオークションに出品された作品とは?
製作本数が少ないフィリップ・デュフォーの作品を手に入れるには、オークション販売という方法があります。
一流の時計師が製作する時計ということもあって、見積もられた価格は10万ドル以上と高額です。
近年、フィリップ・デュフォーはシンプリシティシリーズの製作に力を注いでおり、200本まで展開しているのが確認されています。
2016年11月3本のシンプリシティがオークションへ出品
近年確認されているフィリップ・デュフォー作品のオークションとしては2016年11月に開催されたシンプリシティのオークションが有名です。
細部にまでこだわるフィリップ・デュフォーの腕時計ということもあって、多くの人の耳目を集めました。
出品された作品は?
2016年11月に出品されたのはシンプリシティシリーズの3作品です。
オークションは2日間にわたって行われました。
3つのモデルはいずれも異なる特徴を備えており、それぞれ10万ドル以上の値が付いたとされています。
2016年11月28日:シンプリシティNo.61(クリスティーズ)
オークションの1日目に出品されたのが「シンプリシティNo. 61 37mmホワイトゴールド ギョーシェ文字盤」です。
ギョーシェ文字盤とは規則的なパターンでシルバーやゴールドを彫り込んだ装飾の方式です。
2016年11月29日:シンプリシティNo.11(フィリップス)
オークション2日目には2本の時計が出品されました。
先に出品されたのは「シンプリシティ No. 11 37mmローズゴールド ラッカーダイヤル」です。
前日のシルバーのケースのとは異なり、ラッカーダイヤルで耐久性をプラスしています。
2016年11月29日:シンプリシティNo.30(フィリップス)
最後にオークションで販売されたのは、「シンプリシティ No. 30 ギョーシェダイヤル 34 mmホワイトゴールド」です。
フィリップ・デュフォーがプロトタイプとして製作し、実際に身に着けていたシンプリシティシリーズの複製である点が、他のモデルとの差異として注目を集めました。
時計を手に入れる方法はオークションの入札のみ
フィリップ・デュフォーの腕時計を手に入れたいと思ったとき、現在考えられる方法としては公式に開催されるオークションのみです。
製作本数が1年で約15本と非常に希少なため、入手する方法が限られるのはある意味仕方がないといえます。
フィリップ・デュフォーは精巧な技術を持った世界有数の時計師
フィリップ・デュフォー氏は若い頃から積み重ねた修行と、欧州各地を巡った経験に裏打ちされた確かな技術が質の高い時計を生み出しています。
職人気質な時計へのこだわりと新しい技術を受け入れる姿勢が、現代でも高く評価される時計製作を支える要因です。
時計に関心がある人は、フィリップ・デュフォーをはじめとした時計師に対しても興味の幅を広げてみてはいかがでしょうか。
2020年10月24日調査
この記事のライター
Rich-Watch編集部
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