時計修理技能士に修理は頼むべき3つの理由!時計修理技能士になる方法も紹介!
安全安心の時計修理に欠かせないのは腕のいい時計修理技能士です。今回は時計修理技能士の資格取得や試験内容、年収などを徹底解説します。また時計修理を専門の時計修理技能士に頼むべき理由についてもまとめたので参考にしてみてください。
目次
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時計修理をするための資格”時計修理技能士”を詳しく解説
安心安全な時計修理に欠かせないのは腕のいい時計修理技能士です。
今回は時計修理技能士の資格や年収、資格を取るための過程など徹底解説します。
また時計修理は専門の時計修理技能士にお任せした方が良い理由についてもまとめました。
ぜひ時計修理のお店選びの参考にしてみましょう。
"時計修理技能士"はどんな資格?
時計修理のお店を探していると、お店の看板や広告で「時計修理技能士在籍」の言葉を目にすることがとても多いです。
そもそも「時計修理技能士」はどんな資格を持った人たちなのか解説します。
時計の修理技術を認定する国家資格
「時計修理技能士」とはアナログ時計の修理技術を認定する国家資格です。
職人の手作業で作られた精密な時計を修理するためには、正確な職人技が要求されます。
そこで専門的な時計修理の技術を身に付けた「時計修理技能士」を養成するために、都道府県職業能力開発協会が試験を実施しています。
「時計修理技能士」の試験を受験するためには1年から7年以上の実務経験が必要となり、誰でも簡単に取得ができる資格ではありません。
修理技術以外にも幅広い知識が必要
「時計修理技能士」の資格を取得するためには、修理技術以外にも幅広い知識が必要です。
時計の修理作業の他にも、時計修理で来店した顧客の接客、時計の商品管理、顧客との電話やメールによる修理の受付や質問への回答など一般教養を身に着けなければなりません。
専門的な時計修理技術と一般教養を身に付けた者だけが「時計修理技能士」の資格を手にすることができるのです。
各級で問われる実務試験の内容
「時計修理技能士」の資格試験は1級から3級まであります。
受験資格は級ごとに指定された年数の実務経験が必要です。
1級には実務経験年数が7年または2級合格後に実務経験が2年、または3級合格後に実務経験が4年と定められています。
2級は実務経験年数が2年または不要、3級は6ヵ月または不要です。
学歴によっても級ごとに指定された年数の実務経験が必要となります。
また試験内容は「時計修理法」「機械要素」などの学科試験と「時計の修理」「工数見積もり」の実技試験があります。
"時計修理技能士"はどんな試験?内容と難易度を調査
ここからは「時計修理技能士」になるための試験内容や難易度について解説します。
受験に必要な「実務経験」
「時計修理技能士」の資格を取るためにはそれぞれの級に応じた実務経験が必要になります。
例えば1級の試験の場合は7年の実務経験が必要ですが、条件によっては実務経験年数が短くなる場合もあります。
すでに「時計修理技能士」2級の資格保持者は2年、「時計修理技能士」3級の資格保持者は4年の実務経験があれば1級の試験が受けられます。
またどのような学校を卒業した後に「時計修理技能士」の試験を受けるかによっても、実務経験の年数が変わってきます。
お客様の大事な時計を扱う専門職のため、実務経験は必須の条件となります。
「学科試験」の内容
「時計修理技能士」の学科試験の内容は「時計」「時計修理法」「機械要素」「材料」「電子および電気」「安全衛生」です。
学科の試験科目は1級から3級を問わず全ての内容の試験があります。
時計全般の知識を理解することも「時計修理技能士」の資格を取得するために必要なことです。
「実技試験」の内容
「時計修理技能士」の実技試験は1級から3級の試験内容が異なります。
それぞれの級ごとにどんな実技試験があるのか詳しくみていきましょう。
3級の実技試験の内容
3級の実技試験は「アナログ水晶腕時計のバンド取り外し」「バンドの取り付けやコマ詰め」「中留長さ調整」「電池および裏ぶらパッキンの取り外し・取り付け」「化粧箱への包装」などが試験内容となっています。
難易度もそれほど高くないので合格率も高いです。
2級の実技試験の内容
2級の実技試験の内容は「アナログ水晶腕時計(中3針、日・曜カレンダー付き)の分解」「部品交換」「洗浄」「組み立て」「注油」などを行います。
また試験官に指定された要求事項や要求精度が試される試験内容です。
時計の知識を体現できないと難しい実技内容となっています。
1級の実技試験の内容
1級の実技試験の内容は他の級に比べるとレベルが高くなっています。
試験内容は2級と同じ内容に加え、「機械式腕時計(中3針、日・曜カレンダー付き(自動巻式<手巻なし))の分解」「部品交換」「洗浄」「組み立て」「調整」「リューズ操作」などを行います。
機械式腕時計の実技においても試験官から指定された要求事項や要求精度が試されます。
"時計修理技能士"に修理を頼むべき3つの理由
厳格な試験を突破してきた人にだけ与えられる「時計修理技能士」の資格は、プロの時計修理士としての証です。
国家資格「時計修理技能士」だからこそ、時計修理を頼むべき3つの理由があります。
有資格者は修理の「経験」があるから
「時計修理技能士」は時計修理の経験年数が長いです。
1級の試験を受けるのに最長で実務経験が7年、2級の試験を受けるのに2年の実務経験年数が必要なため、プロの「時計修理技能士」は豊富な経験があります。
実際に様々な症状の時計に出会い、修理をしてきた経験は何物にも代えがたい財産となっています。
経験から生まれる勘もあるため、「時計修理技能士」にこそ大事な時計修理をお任せできるのです。
有資格者は修理の「技術」があるから
「時計修理技能士」は高度な技術も持ち合わせています。
小さな部品のいくつもの組み合わせでできているムーブメントの分解や組み立て、部品交換も腕のいい「時計修理技能士」なら、正確に安全に行ってくれます。
「時計修理技能士のいないお店に頼んだら故障して戻ってきた」「修理できずに断られた」などの事例も多く見られます。
大切な時計の修理は技術力が保証されている「時計修理技能士」にお任せしましょう。
有資格者は修理の「知識」があるから
「時計修理技能士」は豊富な経験と高度な技術力に加え、豊富な知識もあります。
難しい学科試験もクリアしてきているため、複雑な機構の仕組みや珍しいキャリバーの仕組みも頭に入っています。
故障した時計を点検しながら、どんな修理を施したらいいのかよく理解できるでしょう。
国家資格である「時計修理技能士」に時計修理を依頼すれば、時計の症状に合った修理が叶います。
"時計修理技能士"資格は本当に修理に必要?
時計修理店に足を運ぶと「時計修理技能士」の資格を持っていない方が対応してくれることもしばしばです。
「時計修理技能士」の資格は時計修理を行うにあたって、本当に必要な資格なのかどうか解説します。
2級3級資格では修理技術が十分ではない
2級や3級の「時計修理技能士」資格を持っている方の中には、高い技術力を持っている方も少なからずいらっしゃいます。
しかし2級の「時計修理技能士」の試験を受けるためには実務経験が2年以上または3級を取得していること、3級の「時計修理技能士」の試験を受けるためには実務経験が6ヵ月以上必要になります。
一方「時計修理技能士」1級の資格を持っていれば、実務経験が7年以上あるいは、2級合格後2年以上の実務経験、または3級合格後4年以上の実務経験を積むという条件があるため、安心して時計修理を任せられます。
1級の資格を持っている方に時計修理が依頼できれば、大事な時計を長く愛用できることにも繋がります。
2級や3級の「時計修理技能士」の資格では不十分なため、1級の「時計修理技能士」の資格を持っているお店に足を運びましょう。
資格がなくても修理技術が高い技士もいる
時計修理の技術者の中には「時計修理技能士」の資格を持っていなくても、高い修理技術を持っている方がいるのも事実です。
実際に時計修理店で若い頃から働きながら技術を磨いた方もおられます。
特に高齢の技術者の腕前の良さには感動します。
一概に「時計修理技能士」1級の資格があるから腕がいい店とは言えないのですが、資格があると一定の時計修理技術があるという証明になるため、お店選びのポイントになります。
高齢の技術者は資格より熟練の経験が勝る
高齢の技術者は「時計修理技能士」の資格がなくても、腕は確かです。
様々な症状の時計に出会い、先人たちの知恵も豊富に身に付けているため熟練の経験を持っています。
単に「時計修理技能士」の資格がないからと敬遠するのではなく、技術者の真の知識と技術力、経験を見極めてください。
お店の創業年数や口コミなども参考にしながらお店を選ぶのをおすすめします。
"時計修理技能士"になるには?メリット・デメリットも紹介
メリット | デメリット | |
---|---|---|
専門学校 | ・就職に強い ・専門の技術が学べる ・カリキュラムに基づいている | ・日本に学校が数少ない ・学費がかかる ・交通費や住居費がかかる場合もある |
通信教育 | ・隙間時間を活用できる ・仕事をしながら資格が取れる ・簡単に申し込みができる | ・生きた技術を習得することができない ・やる気を維持できない ・分からないところを聞きにくい |
職業訓練校 | ・時計修理のプロになりたい人におすすめ ・「時計修理技能士補」を取得できる ・「時計修理技能士」2級の学科試験が免除される | ・学費がかかる ・定員が限られる ・1年間の短期訓練 |
働きながら学ぶ | ・学費が安い ・様々な症状の時計に出会える ・努力次第で技術力が向上する | ・働くお店選びに迷う ・自分の努力次第となる ・自信がなくなることも多い |
「時計修理技能士」の資格を取るには専門学校や職業訓練校、通信教育で専門的な知識を学費を出して学ぶ方法と働きながら独学で学ぶ方法があります。
それぞれのメリットとデメリットを表にしたので、自分にはどの方法が合っているのか考えてみましょう。
①専門学校で学ぶ
「時計修理技能士」になる方法の1つに専門学校に通うことが挙げられます。
日本には時計職人になるための専門学校が非常に少なく、地域によっては学費以外に通学の交通費や住居費が必要になる場合もあります。
有名な専門学校は「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」のウォッチコースや「近江時計眼鏡宝飾専門学校」です。
「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」は東京校と大阪校があり、国内外の有名企業との産学協同プロジェクトを積極的に導入している点が特徴です。
「近江時計眼鏡宝飾専門学校」は現行スイス製時計からアンティーク時計、クォーツ時計 部品製作等の技術がカリキュラムに基づいて学べます。
どちらの専門学校も専門的な知識や技術がゼロから学べ、就職に強いというのが最大のメリットです。
②ユーキャン等の通信教育で学ぶ
通信教育のユーキャンでは「時計修理技能士」の資格が取れる講座を開設しています。
通信教育で資格を取るメリットは隙間時間を使って勉強ができる点です。
隙間時間を見つけて時計修理の学習ができるので他に仕事や学校に通いながらでも無理なく続けられます。
しかし通信教育のデメリットは、自分でやる気をコントロールしなければならないことです。
学習に飽きてしまってもモチベーションを高く持ち続けなければならないのが一苦労します。
また通信教育ではテキストのみの学習となるので実際に時計を修理している現場を見たり、自分で修理したりする作業を体験できないのは残念です。
③職業訓練校で学ぶ
本格的に「時計修理技能士」を目指している方は職業訓練校がおすすめです。
日本にはたった1校「大阪府時計高等職業訓練校」があります。
「大阪府時計高等職業訓練校」は卒業と同時に労働省認定「時計修理技能士補」の称号が得られ、「時計修理技能士」検定2級の学科試験が免除されます。
また修了後6年間の実務経験で、職業訓練指導員免許の受検資格が取得できます。
授業で使う工具や時計などは学校から支給されたり、教材費で購入したりして専門の技術や知識を生で体験して自分のものとすることが可能です。
ただし訓練生の定員は15名と限られ、訓練期間は1年間という短期集中型の形態となっています。
「時計職人になりたい」という強い意志がある方におすすめの選択です。
④時計店で働きながら学ぶ
「時計修理技能士」の資格を取るためには時計店で働きながら学ぶという方法もあります。
1級の時計修理技能士が在籍しているお店で実際にプロの技を見たり聞いたりしながら学ぶことは、この上ない経験と学びに繋がります。
現場で働きながら学ぶとあらゆる症状の時計に巡り会え、試行錯誤しながら経験したことが自分の知識となって技術の向上に繋がります。
学費のかかる専門学校や職業訓練校に通わなくても自分の努力次第で技術が向上するのはメリットです。
しかし専門的なカリキュラムに基づいた学習はできないため、努力を惜しまず時計修理に没頭することが求められます。
気になる"時計修理技能士"の年収は?
ここからは気になる「時計修理技能士」の年収について解説します。
「時計修理技能士」の年収は就職先によって大きな差が生まれています。
大手時計メーカーなら年収1,000万円超も
ROLEXなどのスイス時計メーカーやセイコー、シチズンなどの大手メーカーの修理部門で勤務している方は年収1,000万円以上も稼いでいます。
仕事内容は取り扱いブランドの時計のオーバーホールや部品交換などです。
また大手メーカーであれば給与や勤務時間など待遇面も安定しているため、高額な給料を求める方は時計専門学校や職業訓練校からの大手メーカー就職がおすすめです。
時計店・修理店なら年収300~500万円
一般的な時計店や修理店に就職した場合の平均年収は300万円から500万円です。
仕事内容は大手メーカーの修理部門と同じく、オーバーホールや部品交換などです。
お店によっては接客をすることもあります。
時計が動かなくなって困っている人を助け、お店にやって来る人たちを笑顔にできる仕事のためやりがいを感じている方も多くいらっしゃいます。
時計修理をしながらお客さんとのコミュニケーションを大事にしたい方におすすめの職場です。
個人・フリーランスの年収はピンキリ
個人やフリーランスで時計修理をしている方の年収はピンキリです。
中には300万円未満という方もおられます。
しかし口コミで良い評判が広がれば一般的な時計店や修理店よりも稼げることもあります。
腕のいい「時計修理技能士」のお店は予約がいっぱいで1年先の仕事まで埋まっているというお店もあるほどです。
知識や技術の豊富な「時計修理技能士」資格を持っていれば大手メーカーに勤めても、個人やフリーランスで活動しても安定したお金が稼げます。
"時計修理技能士"の在籍するお店での修理が安全
大事な時計を修理に出す時は「時計修理技能士」の在籍するお店がおすすめです。
特に1級の「時計修理技能士」が在籍しているお店は豊富な知識と経験があるため、安心して時計修理の依頼ができます。
「時計修理技能士」の資格を取るためには豊富な知識と卓越した技術が必要です。
愛着のある時計だからこそ信頼の証でもある「時計修理技能士」の資格を持った技術者に修理をしてもらいましょう。
2021年7月15日調査
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この記事のライター
Rich-Watch編集部
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